会社法, 株式会社, 株主総会, 取締役, 監査役, 株式発行, M&A, 事業承継, 合併, 分割, 会計, 決算, 法令遵守, コンプライアンス, ガバナンス, 法人成り, 起業, 持分会社
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親子か兄弟か,それが問題だ
ホンダと日産の経営統合が破談になったというニュースでは,当初は持株会社を設立して両社を傘下に収める(兄弟会社になる)という話が,ホンダが日産の株式を100%取得して子会社化するという提案をしたことに日産が反発したという報道です。
親会社・子会社とよく聞きますが,ある会社(A社)がほかの会社(B社)の経営を支配している場合,A社を親会社,B社を子会社といいます。「経営を支配している」とは,子会社の財務及び事業の方針の決定を支配している状態です。具体的には,ほかの会社の議決権の50%超を自己の計算に所有するなど,親会社が子会社の議決権の一定数を所有している場合です。A社がB社の発行済株式すべてを保有する場合は,A社を完全親会社,B社を完全子会社といいます。
日本製鉄がUSスチールを完全子会社化するという計画も,米バイデン前大統領の大統領令で禁止されましたが,トランプ大統領は「買収」は認めないが「投資」は歓迎すると表現し,過半数の株式保有は認めないものの,今後の交渉に含みを持たせています。0か100かではない選択肢も含め,政治に左右される両社の経営陣の判断も注目されます。
コンプライアンス,コーポレート・ガバナンスの欠如は企業リスクに
企業経営にコンプライアンス(法令遵守)やコーポレート・ガバナンス(企業統治)が重視されるようになり,これらが欠けた会社は社会から批判や制裁を受け,経営の危機に瀕するようなことも起きています。近年ではゴシップ報道に端を発したフジテレビの例が記憶に新しいところです。株式会社フジテレビジョンの親会社はフジ・メディア・ホールディングス(FMH)という持株会社ですが,炎上直後にその社外取締役7人が連名で,臨時取締役会の早期開催や第三者委員会の設置を会社に申し入れました。
社外取締役とは,文字通りその社内(子会社を含む)で役員や従業員として働いたことがない取締役のことです。会社の経営を外部の立場から監督する役割が期待されています。社外取締役については,会社法2条15号に定義されており,その独立性を確保するために,なれる人の要件が規定されています。例えば,その会社または子会社の業務執行取締役等(業務執行取締役,執行役,支配人その他使用人)は,過去10年以内にその地位にあった場合も社外取締役になれません[リスト参照]。
- 当該会社またはその子会社の業務執行取締役,執行役,支配人その他の使用人でないこと
- 過去10年間において,当該会社またはその子会社の業務執行取締役等であったことがないこと
- 親会社等の取締役,執行役,支配人その他使用人でないこと
- 兄弟会社の業務執行取締役等でないこと
- 当該会社の取締役,執行役,支配人その他の重要な使用人の配偶者または二親等以内の親族でないこと
リスト 社外取締役の要件(すべてを満たす)<会社法2条15号>
これらの要件は2014年の会社法改正で明確化されました。社外取締役を置いていない上場会社等(いわゆる有価証券報告書提出会社)の取締役は,その理由を定時株主総会で説明することが必要であり(会社法327条の2),社外取締役の導入を促進しています。
ところで,FMHに申し入れした社外取締役の1人に,文化放送の代表取締役社長がいます。文化放送ってFMHの子会社じゃなかったの?と思ったのですが,フジサンケイグループの一員ではあれ,FMH・フジテレビジョンとは親子・兄弟会社の関係ではないのですね。ニッポン放送はFMHの子会社なのですが,文化放送はFMHの株式の3.33%を保有する大株主ということで,いろいろなるほどです。
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