良浜との出会い
2012年、なにげなく見つけた、赤ちゃんパンダの名前募集に応募したら、思いがけず名付け親になりました。そして、「ご対面プレミアムツアー」の招待状が届き、2013年1月、はじめて和歌山県のアドベンチャーワールドを訪れました。その時のお母さんパンダが良浜でした。ちなみに、赤ちゃんパンダの名前は「優浜」です。
<優浜>
良浜の第一印象は、なんて可愛いお母さん、でした。そもそもパンダは可愛いのですが、それでも、赤ちゃんパンダに負けないくらい可愛いお母さんだなあと感心しました。初アドベンチャーワールドは、赤ちゃんパンダも子パンダもおとなパンダもみんな可愛くて、東京に帰るころにはすっかりパンダにはまっていました。
それから、上野動物園の年パスを買って通うようになり、2014年に、良浜がふたごのパンダを出産しました。パンダファンになってからはじめての赤ちゃんです。しかも今回はふたごなので、ぜひとも成長を見守りたいと思い、アドベンチャーワールドを再訪したときに、年パスを買ってしまいました。
その後、月に1度の割合で、アドベンチャーワールドに通いました。アドベンチャーワールドでは、赤ちゃんが小さいころから公開し、良浜の子育てと赤ちゃんの成長の様子を見せてくれます。目の前で繰りひろげられる世界は、この上なく貴重で、尊い瞬間ばかりでした。
(良浜と結浜 2016年12月11日)
(良浜と結浜 2017年2月20日)
パンダ本を出すきっかけ
わたしはもともと児童文学の翻訳家で、ほかには昔ばなしや名作を幼い子ども向けに再話したり、子ども向けのノンフィクションの話を書いたりもしていました。翻訳家というのは、自分がおもしろいと思った作品を、日本の読者にも読んでもらいたいという渇望があります。
良浜と桜浜・桃浜の様子を見ていて、海外の作品を日本に紹介したいという渇望とほぼ同じ気持ちが、むくむくと大きくなっていきました。こんなに素晴らしい光景が繰りひろげられているのに、なんで本にならないの?! もったいない! と。
アドベンチャーワールドでは、それまでも、ふたご含めて、何度も赤ちゃんパンダが生まれてきているのに、本になっていないなんてはなはだ残念でした。桜浜・桃浜はちょっと間に合わないかもしれないけれど、だれも出してくれないなら、自分が動こうと思いました。目標は、赤ちゃんパンダの成長を記録した写真絵本です。
2016年9月に結浜が生まれた直後、初めて一眼レフカメラを買いました。自分で楽しむだけなら、スマホかコンデジで十分、一眼レフカメラは重くていや、と思っていました。カメラの知識も、技術もないど素人なのに、今思えばなんと無鉄砲だったのかと思います。でも、自分にカメラの腕はなくても、今のカメラは優秀なので下手な鉄砲も数打ちゃ当たるだろうと気楽に考えていました。
さいわい、もともと仕事をしたことのある講談社の編集者に熱意が伝わったのか、無事に写真絵本『もふもふ あかちゃんパンダ』(講談社、2018年)を出すことが叶いました。その半年ほど前には、『世界一のパンダファミリー』(講談社、2017年)というノンフィクションまで出版できてしまいました。
その後、2017年に上野動物園にシャンシャンが生まれ一大パンダブームが巻き起こり、アドベンチャーワールドでも2018年に彩浜、2020年に楓浜が生まれ、ひたすらパンダを追いかけ、撮影し続けてきました。今や、パソコンよりもカメラの方が使用頻度が高いのではというほどです。人生なにがあるか分からないものですね。
上野のシャンシャン、シャオシャオとレイレイは観覧時間に制限があるため、観覧時はいつも連写です。おかげで、シャッター切りすぎで1年に1回カメラを壊していました。去年ついに延長保証も使い切り、ミラーレス一眼に買い替えて、シャッター幕とさよならしたので、故障が減ることを祈りたいです。
良浜本を出したい
『ありがとう! パンダ タンタン 激動のパン生』『思い出をありがとう! 上野のパンダ リーリーとシンシン』(ともに技術評論社、2024年)がおかげさまで好評で、つぎの企画は? と編集者と相談したときに、まっ先に思いついたのが良浜でした。
良浜は、浜家の赤ちゃんパンダ第1号です。日本生まれのパンダで母親になったのも、現時点では良浜だけです。7回の出産で10頭を生み育てた、ものすごく偉大なお母さんパンダです。
ただ、アドベンチャーワールドには、良浜のほかにも偉大なパンダ(良浜のお母さんの梅梅、お父さんパンダの永明)がいますし、次々と赤ちゃんパンダが生まれ、成長中の時期も多いです。注目すべき存在が数多くいるため、なかなか良浜だけにスポットライトが当たらない……なんとも贅沢な状況でした。
現在、アドベンチャーワールドでは、良浜と、3頭の娘たち(結浜、彩浜、楓浜)の4頭のパンダがくらしています。4頭のゆったり落ちついている今だからこそ、あらためて偉大な良浜と、すばらしい浜家をじっくりぎっしり本にできたと自負しています。
本来なら、赤ちゃんパンダ第1号の良浜から、毎回、赤ちゃんパンダが生まれるたびに成長記録の本が出せていたらなあと、ほんのちょっと悔しいです。でも、それを十分に補って余りある『良浜と浜家』に仕上がりました! 良浜と浜家よ、永遠に!
(良浜 2025年2月26日の「パンダファミリーファン感謝DAY 2nd」にて)
(良浜 2025年4月3日)
(良浜 2025年4月3日)