2024年に終了するISDN
NTT東日本およびNTT西日本は、2024年にISDNサービス「INSネット」の「ディジタル通信モード」を終了します。ISDNとは、古くからあるデジタル通信網のことで、インターネットが普及する以前のパソコン通信の時代から使われていました。INSネットは、NTT東日本およびNTT西日本が提供するISDNサービスの名称です。1988年に提供された「INSネット64」というサービスでは64kbpsでの通信が可能で(2回線使えるので最大128kbpsも可能)、当時では高速で安定したデータ転送を実現していました。それまで固定電話のアナログ通信網で接続していた通信回線が、デジタルになることで安定した高速な回線になったことは、古くからパソコン通信で接続に苦労していた方々にとっても驚きの出来事だったでしょう。やがてより高速なADSLが登場し、現在では光回線やモバイル回線が主流なインターネット回線になっていることは説明するまでもないかなと思います。
現在では通信網の利用がインターネットやスマートフォンが主流になる中、固定電話の利用も減り、またPSTNと呼ばれる固定電話の中継・信号交換機の維持が限界を迎える中で、固定電話のIP網への移行が発表されました。ISDNの終了はそのなかの1つです。実際にサービスが終了するのは「ディジタル通信モード」のみで、音声通話は「メタルIP電話」として引き続き利用できます。
ISDNの終了で企業に影響が出る場合も?
ISDNの終了は個人でのインターネット利用には余り大きな影響はないかなと思いますが、ISDNの「ディジタル通信モード」はPOSシステムや銀行のATMなど、まだまだ企業では重要な役目を果たしていることが多く、EDIと呼ばれる通信回線を用いた商取引にも大きな影響を与えると言われています。2024年というと大分先にも感じますが、すでに対応や検証を行っている企業も数多くあります。
自分の会社のネットワークに影響がないかどうかは早めに確認しておいたほうがよいでしょう。ISDNは古くから使われているため、設計当時の担当者おらずISDNが使われていることに気付かないケースもあるかもしれません。また、取引相手が未対応のままの場合も影響が出る可能性があります。
ISDNが使えなくなるため、単に機器の交換だけでなく企業内のネットワークそのものの構成も見直す必要があります。そのためのコストや日数も掛かるため、早急な対策が必要となるでしょう。
ネットワークを見直すなら将来を見越して
企業のネットワークは、これを機に大幅に見直すのもよいでしょう。ネットワークも従来の固定回線だけでなく5Gのような超高速モバイル通信が登場し、クラウド接続サービスによりシステムだけでなく通話も含めてクラウド化できるようになりました。スマートフォンやクラウドを取り入れることで、今までよりも低コストにしたり、より利便性の高い構成にしたりすることが可能です。今後はリモートワークの需要も増えるかと思いますし、アイデア次第では、将来を見越したネットワーク設計ができるかもしれません。
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