ぐっと身近に人がわかるシリーズ正しく知る心的外傷・PTSD
~正しい理解でつながりを取り戻す~
~正しい理解でつながりを取り戻す~
2011年8月20日紙版発売
水島広子 著
四六判/176ページ
定価1,628円(本体1,480円+税10%)
ISBN 978-4-7741-4770-3
書籍の概要
この本の概要
心的外傷とは,対処できないほどの精神的衝撃を受けたときに人間の心身に起こる反応のことです。震災被害により,多くの日本人が心的外傷を受けていると言われています。本書は心的外傷を正しく理解してもらうために書かれた書籍です。心に傷をおった人に対する接し方やケアの方法などをわかりやく解説しています。
こんな方におすすめ
- 心的外傷をおっている人
- 身近に心的外傷の人がいる人
著者の一言
本書は,心的外傷を受けられたご本人,そして関わりを持たれる方,関心をお持ちの方にお読みいただきたいと思って書いたものです。本書を通して,回復のプロセスに何が重要であるかを共有する ことができれば幸いです。そして,善意からの一言が相手をさらに傷つけたりするのではなく,善意が善意として生かされることを願っています。
なお,本書では,主に,震災のような自然災害や事故などによる心的外傷を念頭に置いて話を進めていきます。心的外傷全般を見たときには,それが他者によってもたらされる場合も多々あります。子どもの虐待などは典型的な例ですし,DV(ドメスティック・バイオレンス),性被害などもそうです。そのような対人トラウマについては,別著をご参照ください。
本書のサンプル
本書の一部ページを,PDFで確認することができます。
- サンプルPDFファイル(2,051KB)
目次
第1章 心的外傷(トラウマ)とは何か
- 対処できる衝撃と対処できない衝撃
- 心的外傷を受けやすい出来事の特徴
- 心的外傷=「まあ,何とかなるだろう」という感覚からの離断
- よく見られるストレス反応
- 子どもの心的外傷
- 「反応」は「症状」ではない
- 心的外傷に関連した病気
- PTSDの治療法
第2章 心的外傷からの回復のプロセス
- 人は回復する
- 回復のキーワードはつながり
- 心的外傷からの回復にはプロセス性がある
- 心的外傷の受け方は一人ひとり違う
第3章 回復のために自分で工夫できること
- 本章を読むに当たって
- 人と一緒にできること
- ストレス反応は自然なものだと知っておく
- 生活面で工夫できること
- リラックスしたり楽しんだりする
- 「やらなければならないこと」をできるだけ小さくする
- 以上のことがうまくできないと自分を責めない
- 効果的でない対処行動
第4章 心的外傷からの回復に向けて周りの人ができること
- いろいろな形での「つながり」を意識する
- 評価を手放して安全な環境を作る
- 心的外傷体験を語らせない
- 話を聴く際に注意したいこと
- 人にはそれぞれの対人関係パターンがあることを認める
- ストレス反応を知って評価を手放す
- 心的外傷を受けた人を支える際に注意した方がよいこと
- 人が助けを求めにくい理由
第5章 心的外傷体験に死別が伴う場合
- 悲しみのプロセスは進みにくくなることがある
- 衝撃的な体験で死別を経験した子どもの場合
第6章 情報とのつき合い方
- 情報からも傷を受ける
- 情報提供の際の注意点
- 不確定情報とのつき合い方
第7章 心的外傷が人間関係を損ねないようにするために
- 心的外傷は対人関係に影響を与える
第8章 支援者のストレス・心的外傷
- 支援者も心的外傷を受ける
- 支援者の心を守るためにできること
第9章 どんな人も「被災」する ― 自分の中の「被災」を見つめる
- 「当事者」でない人はいない
- それぞれの感じ方の違いを尊重する
- 罪悪感を手放す
この本に関連する書籍
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