Pythonがノンプログラマーにとって最適なわけ

もし、あなたがノンプログラマー(本職のプログラマーではない人)なら、数あるプログラミング言語の中からどんな言語を選んで学んだとしても、誰も文句は言わないはずです。ただ、選んだ言語によっては、汎用性が低かったり、学ぶための環境づくりが大変だったりと、実務に役立つ術を身に付けるまでの道のりが遠い可能性もあります。

いま、なぜプログラミング言語としてPythonが選ばれているのか、実はそんなところとも関係していそうです。そのあたりの事情を少しみていきましょう。

プログラミング言語Pythonが生まれたのは1990年初頭。もうすぐ30歳を迎える、歴史のある言語です。数多あるプログラミング言語の中でも、いまや常に人気上位に。最新のTIOBEインデックス(プログラミング言語の人気を示すランキング)では、⁠C」言語に次いで2位となっています。近年のランキングを見る限り、Pythonの評価(レイティング)は上昇の一途をたどっています。

なぜ、これほどまでに人気があるのでしょうか? それを理解するために、Pythonの4つの特徴についてみていきましょう。

[1]文法がシンプルである

Pythonの最大の特徴は「文法がシンプルである」ということです。

Pythonプログラミングの基本の考え方には禅の思想があり、⁠シンプル」であること、⁠読みやすさ」などが重要視されています。これらは、コードが書きやすく、読みやすいということとも通じています。そのため「作業が素早く」行え、さらには学習コストが低いというメリットを生み出します。ノンプログラマーにとっては、短い時間で習得が可能という点は大きな助けとなります。

[2]バッテリー同梱

プログラミングの初学者にとって大きなハードルとなるものに「環境構築」があります。環境構築は、かなり難易度の高い作業になりがちで、最も挫折しやすいポイントのひとつといっても過言ではありません。

その点、Pythonには「バッテリー同梱」という思想があります。

家電商品を買ったときに、商品のパッケージに電池が含まれていると、買い手としては助かります。Pythonはそれと同じユーザービリティを提供するということを大事にしています。ユーザーは「ディストリビューション(distribution⁠⁠」と呼ばれるパッケージングされた配布物をダウンロードすることで環境をそろえることができるのです。

[3]豊富なライブラリ

Pythonのディストリビューションには、さまざまな機能を追加するための機能拡張ソフトウェアが含まれています。それらの機能拡張ソフトウェアを「ライブラリ」といいます。ディストリビューションには、多くのライブラリが含まれているので、それだけでも多くのことが実現することができます。ライブラリには、機械学習、Web開発、データ分析、IoTといった、現在注目されている分野の強力なパッケージが取り揃えられています。それらのパッケージをすぐさま利用できることがPythonの人気を強く支えています。

[4]無料のオープンソースソフトウェア

Pythonは非営利団体である「Python Software Foundation(PSF⁠⁠」が中心となって「オープンソースソフトウェア(OSS⁠⁠」として開発がされています。

OSSというのは、そのソースコードが公開されていて、世の開発者はそれを自由に閲覧、使用、配布、改変をすることができるソフトウェアのことです。利用者は、それを無料で使用することができますし、自由にカスタマイズをして活用をすることができます。

このように、Pythonの人気とその成長は、シンプルで扱いやすい言語であるということに加えて、オープンな環境で世界中の開発者が、利他の精神を持って関わっているということによって支えられています。こうした背景が、Pythonをより魅力ある言語としているのです。