機械学習をどう学ぶか、これはむずかしい問題です。「学問に王道なし」という言葉もあるくらいですから、誰もがかんたんに習得できる方法なんてないのかもしれません。たとえば「ひとまずPythonをインストールして、機械学習ライブラリを試してみる」というのはひとつの手でしょう。手を動かすことが理解につながるのはたしかですから、悪くない方法といえそうです。ただ、この方法には小さくない欠点もあります。自分のやっていること(つまり、機械学習)がブラックボックス化しがちだということです。「なぜこれでうまくいくんだろう?」「このパラメータにはどんな意味があるんだろう?」といった疑問を解消する機会がなかなかありません。
こういった問題にぶつかったときには、機械学習の背後にある考えかたを学ぶべきでしょう。もちろん正直な話、こうした「考えかた」を最初から学ぶべきかどうかは場合によりけりです(学問に王道なし!)。しかし、機械学習を実際に使うなかで、遅かれ早かれ身に付けなければならない知識であることはまちがいありません。
では、身につけておくべき機械学習の「考えかた」にはどんなものがあるでしょうか。
たとえば「機械学習の『学習』とはなんなのか」「機械学習の『モデル』とはどういうものなのか」といった質問をされたとしたら? 改めて聞かれると、案外むずかしい問いかけに感じられるかもしれません。それでも、こういった「そもそもの考えかた」を知っておけなければ、機械学習でできること/できないことを見誤ってしまうでしょう。
あるいは、機械学習で用いられる「確率」について。実は、これを日常的に使われる「確率」の延長として理解しようとしても、なかなかうまくいきません。ちょっと専門的に感じられるかもしれない「近代的な確率の考えかた」を身につける必要があります。
こうした「考えかた」を身に付けるのにうってつけの書籍が『わけがわかる機械学習』です。本書は、機械学習そのものやそのモデル/アルゴリズムの背景や動機を知り、「機械学習がそんなことをしたい、してもいい理由」を把握することを目指しています。たしかに数式はたくさん出てきますが……心配いりません、手厚くてかつおもしろい、身近な例示に富んだ解説が添えられており、思ったより手強くはないと感じられるにちがいありません。これから機械学習を学びたいというあなた、すでに機械学習を使っているものの「モヤモヤ」が晴れないあなたにおすすめの一冊です。