なぜITシステムの監視を効率化する必要があるのか
現代の企業活動には、もはやITシステムが必要不可欠な存在になっています。Webサービスを開発している会社は自分たちのWebサービスはもちろんのこと、Webサービスを提供していない会社でも、社内では業務システム用のサーバ、ファイルサーバ、メールサーバなど、多数のITシステムを利用していることが多いでしょう。
提供する機能が複雑化した結果ITシステムも複雑化し、大規模なシステムでは数十台~数百台、24時間365日稼働が求められるケースも珍しくありません。
これらのITシステムが正しく稼働しているかを確認するためには、システム監視を行うことが不可欠です。システム監視は主に以下の3つの監視に分けられます。
- ❶稼働監視
pingコマンドで応答を確認したり、アプリケーションが利用するポートに接続を行うことで、ITシステムが正しく稼働しているかを確認する
- ❷リソース監視
ITシステムの、CPU/メモリ/ディスク/ネットワークなどの状況をチェックする
- ❸アプリケーション監視
各アプリケーション内部のステータスやリソース使用状況を監視する
これらの確認を手動で人間の手で行うのは、膨大な時間がかかるばかりかミスも発生します。現代の複雑化したITシステムを手動で管理するのは困難と言ってよいでしょう。
ZabbixによるITシステム監視の効率化
Zabbixは、このITシステムの監視を一元化し、日々の監視を自動化することによりITシステム監視を効率化するツールです。上記のシステム監視を自動化するだけではありません。さまざまなサーバOSやネットワーク機器、アプリケーションを一元的に監視でき、異常が発生したら管理者への通知やスクリプト実行による自動的な障害対応などのアクションを行うことも可能です。
また、監視により取得したデータをグラフ化することも可能です(図1)。これにより、ITシステムが正しく稼働しているかを直感的に把握し、また将来的なハードウェアの増強をいつごろ行う必要があるのかなどの予測を立てることも可能です。
図1 スクリーンという機能でグラフを画面に複数表示
本書の紹介
『[改訂3版]Zabbix統合監視実践入門』は、Zabbixを利用してITシステムの監視を効率化するための書籍です。
執筆者は、日本でのZabbixの導入に尽力してきて、現在は開発元であるZabbix LLCの日本子会社であるZabbix Japanの代表を務める寺島広大氏です。基本的な操作はもちろん、これまで寺島氏が培った実際のシステムの監視に役立つノウハウも凝縮しています。よく使われる監視設定を適宜紹介しているだけではなく、大規模システムの監視方法について1つの章を割いて例を挙げながら解説しているので、本書を読めば基本的な監視から大規模システムの監視まで行えるようになるはずです。
ご好評を受け改訂を続けており、今回の改訂では最新のバージョンであるZabbix 4.0に対応しました。新機能の解説が追加されたのはもちろん、これまでの記述も今の状況に合わせて大幅に修正されています。
本書を参考に、ぜひITシステムの監視を自動化、効率化してください。