ラズベリー⁠パイで電子工作に挑戦

ラズベリー・パイってなんだ?

最近、話題になっているラズベリー・パイ(Raspberry Pi)は、英国のラズベリー・パイ財団が開発した超小型のパソコンです。もともとは教育用に開発されたワンボードコンピューターで、過去にいくつかのモデルが登場しました。価格はリーズナブルで、2018年3月発売の最新モデル「Raspberry Pi 3 Model B+」でも5,000円台で購入できます。サイズはRaspberry Pi 3 Model B+でも86mm×57mmで、まさに⁠一切れのパイ⁠のようなコンパクトさです。この小さな基板にビデオ、ネットワーク、サウンド、Bluetooth、各種の外部端子など、パソコンに必要な機能を一通り搭載しています。

ラズベリー・パイにはRaspbian(ラズビアン)というOSをインストールします。RaspbianはLinux(リナックス)というOSの一種で、公式サイトから無料で入手できます。RaspbianのデスクトップはWindowsに似ており、Windowsパソコンのユーザーであればすぐに使えるようになります。ウェブブラウザや無料のオフィスソフトもインストールされています。

ラズベリー・パイを楽しもう

ラズベリー・パイにRaspbianをインストールすると、いろいろなプログラミング言語が使えるようになります。最近、人気があるPython(パイソン)も用意されており、Pythonによるプログラミングの勉強をすぐに開始できます。Pythonは構文がわかりやすく、⁠ライブラリー」というプログラムを追加することで、Python自身の機能を拡張しやすいのが特長です。

ラズベリー・パイの活用法の中でも、とくに注目されているのが「電子工作」です。ラズベリー・パイと各種の電子部品を接続して、Pythonのプログラムで信号のやり取りを制御することで、扇風機、温湿度計、定点カメラ、お天気ボードなど、いろいろなものを作成できます。それらの電気回路は、ブレッドボードという樹脂製の基板に、電子部品やジャンパーワイヤーを挿すことで作成できるため、本格的なものを作るのでなければ半田づけも必要ありません。また、電子部品の多くは1つ数円~数百円くらいで購入できるので、ラズベリー・パイがあればプラモデルを作るような感覚で電子工作を楽しむことができます。

ラズベリー・パイで電子工作に挑戦しよう

ゼロからよくわかる! ラズベリー・パイで電子工作入門ガイドはラズベリー・パイを使った電子工作の入門書です。ラズベリー・パイのセットアップからRaspbianの操作方法、Pythonプログラムの作り方、さまざまな電子工作の作例を組み立てる手順を解説します。電子工作は1つのLED(発光ダイオード)をPythonプログラムでチカチカ点滅させる、俗に「Lチカ」と呼ばれるもっとも基本的な作例からはじめます。最終的には、市販されているロボットの組み立てキットにラズベリー・パイを組み込み、スマートフォンのアプリから操作できるようにします。

ラズベリー・パイは低価格であること、コンパクトであること、消費電力が少ないことを重視して設計されているため、総合的な性能は一般のパソコンに及びません。しかし、一般のパソコンにはない拡張性、とくに電子工作との相性のよさは抜群であり、ユーザーのやる気次第で無限の楽しみ方ができます。

ラズベリー・パイに興味が湧いたら、ぜひ本書の電子工作に挑戦してみてください。