仮想通貨は実体を持たない
最近、「ビットコイン」や「仮想通貨」という単語を、テレビのニュースや新聞などで頻繁に目にするようになってきました。ビットコインは仮想通貨の一種で、ビットコイン以外にも様々な仮想通貨があります。
仮想通貨を簡単に説明すると、デジタルのお金です。たとえば日本円は硬貨やお札といった実体がありますが、仮想通貨はデジタルのデータのみの存在で、実体を持ちません。また、日本円や米ドルは日本国や米国がその価値を保証する法定通貨ですが、多くの仮想通貨は価値を保証する国などの権威を持ちません。身近では、Suicaやnanacoといった電子マネーがもっとも仮想通貨に近い存在です。
「保証がないお金なんて価値がないのでは?」と思う人もいるかもしれません。ただし、日本のようにある程度安定している国では国の保証は意味がありますが、最近ではジンバブエが発行するジンバブエ・ドルのように月100%というハイパーインフレにより、価値を失い、2009年に発行が停止した法定通貨もあります。ジンバブエでは、ジンバブエ・ドルの代わりに米ドルやユーロ、日本円などを通貨として使用していますが、仮想通貨が利用されることもあり、仮想通貨の一種の「DASH」が、現在ジンバブエの公式デジタル通貨としての採用に向けて始動しています。
仮想通貨は安全なのか?
「ビットコイン」や「仮想通貨」の名前を、コインチェック社から不正に送金された仮想通貨のニュースで初めて見た人もいるのではないでしょうか。また、実体のないデジタルデータであれば、改ざんされて盗まれたりする危険性を心配する人もいるかもしれません。
ちなみに、「仮想通貨」という呼び方は日本での呼び方で、英語ではCryptocurrency(暗号通貨)と呼ばれています。仮想通貨は英語の呼び方である「暗号」が表す通り、ブロックチェーンと呼ばれる技術で、データ自体や取引記録の改ざんを防ぐシステムを採用しています(暗号化されていない仮想通貨もあります)。コインチェック社の不正送金事件も、コインチェック社の「NEM」と呼ばれる仮想通貨の管理方法に問題があったためで、NEM自体が改ざんされたわけではありません。
※写真はイメージです
今後仮想通貨は値上がりする?
2017年は、ビットコインを始め、多くの仮想通貨の価値が跳ね上がった年です。ビットコインは2017年12月に1ビットコインが約240万円ぐらいを記録しました。ところが、原稿執筆時点の2018年4月では、約75万円ぐらいになっています。4か月ぐらいで1/3の価値になったということです。
ドル-日本円でも、数年の期間では1ドル80円から120円と1/3ぐらいの変動はありましたが、仮想通貨は一般に法定通貨に比べ、価値が短期間に大きく変動することが特徴です。
というのも、仮想通貨は法定通貨と異なり国の保証や、国同士の経済バランスに左右されず、売りたい人と買いたい人の関係で価値が決まるからです。そのため、仮想通貨の価値変動は経済的指標などで予想することができず、短期的にも長期的にも今後価値がどう動くかを予想するのは非常に難しいのです。
もし、仮想通貨への投資を考えている人がいるなら、こうしたことを踏まえて、価値が大幅に下がっても泣くようなことのない余剰資金で行うようにしてください。