2010年の発売以来、長きにわたってご好評いただいているプログラミング入門書『Pythonスタートブック』が、このたび約8年ぶりに内容を刷新し、増補改訂版となりました。ここでは、今回の改訂によってどのあたりが変更・追加されたかを、簡単にご紹介します。
Python 3に完全対応
前版では、プログラムの動作環境としてPython 2(当時は2.6)を使っていました。2010年頃はPython 3のリリースから間がなく、機能やライブラリなどに問題があったため、Python 2のほうがよく使われていました。しかし現在では、ほとんどのユーザーがPython 3を利用しています。さらに、Python 2の最終リリースであるPython 2.7が2020年でサポート終了となることが決まったため、今回の改訂を機に、すべての解説をPython 3に対応させました。さらに、最近人気のPythonディストリビューション「Anaconda」や、フリーのエディタ「Visual Studio Code」のインストール方法も紹介しています。
なお、Python 2とPython 3に互換性はありませんが、基本的な文法は大きく変わっていません。そのため、本書の多くのプログラムは、Python 2でも動作します。後半の解説では動作しないプログラムも出てきますが、Python 2で動かす方法を注記していますので、Python 2の環境しかない方でも動作を確認することができます。
Webアプリの基本を解説
今回の改訂では、Pythonプログラミングの応用編として、新たに2つの章を追加しました。その1つでは「Webアプリケーション」を作成します。とはいえ、本格的なアプリを作るにはWebアプリケーションフレームワークと呼ばれる大規模なソフトウェアを使う必要がありますので、本書で作るのは、CGIというちょっと古い技術を用いた、ごく簡単なアプリです。ですが、Pythonの基本機能だけを使って1から作り方を学習することで、Web上のデータのやり取りの仕組みが自然とわかるようになっています。
データ処理の基本を解説
もう1つは、データ処理についてです。昨今では、機械学習やディープラーニングなどの研究を行うデータサイエンスという分野に注目が集まっていますが、その基本は、データを集計して意味のある形にすることです。本書では、データ処理専用言語SQLをPython上で動かすことで、データを集計して、ヒストグラムを作成します。それまでの章で学んだことや作ったプログラムを駆使して、データ処理の基本が学べるようになっています。
紙面の都合により前版の最終章の解説を一部削っていますが、それ以外の部分は、上記の通り大幅にボリュームアップしました。「まったくのゼロからでも大丈夫!」というキャッチコピーに偽りのない、とことんわかりやすい内容になっていますので、はじめてプログラミングを学ぶ方は、ぜひ『Pythonスタートブック[増補改訂版]』から、Pythonの学習をスタートしてください。