- 「人間がバーを飛び越えて行くときに、空と一体になり、まるで鳥のように羽ばたいていく瞬間」
そんなイメージを体現したのが、この棒高跳びの写真です。
重要なのは、高さの表現です。また、「空と一体になる」ためには、空をダイナミックに表現する必要があります。
広角レンズを選択し、「大きく空を写しこみながら、その中を人間が飛んでいく」という流れを想定して構図を決めます。また、できるだけバーに近づきながら、見上げることができる位置にカメラを構えます。そうすることで、より高さを表現できるためです。あとは、雲の流れと光が選手を照らしてくれるのをひたすら待ちます。その中で撮影できたのが、この1枚です。
「カメラを構え、シャッターを押す」という行為は、撮影という過程の中の最後の1割にすぎません。つまり、それまでの9割が写真の出来栄えを左右するのです。
その部分にスポットを当てたのが、新刊『「いい写真」はどうすれば撮れるのか?』です。プロカメラマンとして活躍する著者が、「きれい」「かっこいい」「おいしそう」「かわいい」「うれしい」といったキーワードをふまえて、イメージ以上のよさを引き出すための物の見方、考え方を解説しています。「より上手に写真を撮りたい」「そこそこ良いカメラやレンズを持っているのに、いまいち自分の写真に満足できていない」という方、ぜひお手にとってみてください。