人から人へ⁠手から手へ⁠暮らしを受け継ぐためのヒント

より子式・自然に寄り添う暮らし

1日を過ごすなかで大事にしていることはありますか? 坂井より子さんは、

  • 五感を大事にすること
  • まずは食べること
  • 最初にがんばること

を大切な軸として、いつもの毎日を過ごします。それは、のびのびと穏やかな暮らしをはぐくむために自然とできた習慣だそう。

受け継ぐ暮らしでは、神奈川の自然に恵まれた土地で静かに暮らすより子さんの四季の家しごとを追い、アイデアに満ちた日々に密着。そのなかで教えていただいた数々の生活の知恵を1冊にまとめました。

主婦歴40年を超える家事のベテランならではの、家族とたのしむ「四季を感じる料理⁠⁠。たとえば春には山で採ってきたたけのこや山菜を、夏には庭にある梅の木で梅干しや梅味噌づくり。また、少ない材料でつくる味のベース「だし」⁠めんつゆ」などちょっとの手間でおいしい「わが家の味」ができます。

そのほかにも本書には、面倒な気持ちがラクになる「家事の進め方や向き合い方」や指定席をつくる片付け法など、なるほど! と思わせる気負わない工夫の数々が満載です。

「煮豆の会」開催

初の著書となる本書が好評をいただくなか、2015年11月末に「煮豆の会」⁠東京・下北沢fog)を開催。より子さんとお料理を愉しみながら直接お話する機会として、少人数での催しとなりました。

この日のレシピ構成は、⁠ひよこ豆のサラダ、お赤飯、黒豆⁠⁠。本書でもつくり方をご紹介しているお赤飯と黒豆に加え、豆料理をつくる際の水分のコツ、サラダのアレンジ方法、家にあるもので手早くできるドレッシングのお話などをまじえながら、和やかな時間が流れました。

参加いただいた方はより子さんの普段の暮らしに興味深々、おおらかでチャーミングなお人柄に、はじめは遠慮がちだった場にもさまざまな質問が飛び交い、会は終了しました。

「煮豆の会」の風景
Photo by Kyoko Takahashi

春の訪れはもうすぐ。旬の野菜であたらしいレシピに取り組んでみたり、一品だけでも手をかけてみるなど、小さなことから自然に寄り添う暮らしを愉しんでみませんか?

「煮豆の会」でも紹介されためでたい日の手づくりお祝いごはん

お赤飯

『受け継ぐ暮らし』よりレシピ抜粋

材料(4~5人分)
  • もち米:3カップ
  • 小豆(乾燥⁠⁠:1/3カップ
  • 塩:小さじ1
  • ごま:少々
つくり方
  1. もち米は洗ってざるにあげ、10分以上置く。
  2. 洗った小豆、多めの水を鍋に入れて強火にかける。煮立ったら、弱火にし、8分通りにゆでたら、小豆とゆで汁に分ける。
  3. 大きめのフライパンにゆで汁240ml(足りなければ水を加える⁠⁠、塩を入れ、強火にかける。沸騰したらもち米を加え、強火のまま14分ほどしゃもじでかきませながら、もち米に水分を吸わせる。火を止め、小豆を加えてよくまぜる。
  4. 蒸し器にかたく絞ったふきんを敷き、3をのせて中火にかける。
  5. 蒸気が出てから25~30分ほど蒸す。
  6. 器にもって、ごまをふる。

:食べてみて「ちょっとかたいかな」ぐらいが目安。

著者プロフィール

坂井より子(さかいよりこ)

1946年生まれ。神奈川県葉山在住。自宅で料理教室を主宰。主婦歴40年の経験を生かし、やさしい家庭料理の伝授と暮らしの知恵を交えた語りが好評を博し、さまざまな世代の女性から人気を集める。近年、かぞくのアトリエ「おやこきょうしつ」にてお話会を開催し、若いお母さんたちの支えとなる活動も行っている。

http://www.motherdictionary.com/sakaiyoriko