必要なのはセンスじゃなくてルールです

Wordで作る企画書・お知らせ・レポート・チラシ・パンフレット、PowerPointで作るプレゼンスライドなど、さまざまな資料を、PCで簡単に作れるようになりました。中には、ネット印刷で大量に刷るための原稿も、自分で作っているという方もいらっしゃるのでは?

しかし、Officeの機能を駆使して、がんばってデザインしてみたものの、どうも垢抜けないなあ、と思ったことはありませんか。やはりセンスがないと、かっこよく作るのは無理なのでしょうか。まあ、そもそも自分はプロのデザイナーじゃないし、見た目より資料の内容こそが重要だし、見た目が少々悪くても、きっとわかってもらえるはず??

いいえ、それは少々甘い考えです。手書きの書類でも、なぐり書きの汚い文字では読む気がしませんよね。PCで作る資料でも同じです。見栄えが悪く、整理されていない資料は受け手にストレスを与え、理解しづらく印象の悪いものになってしまいます。企画書が却下されたり、プレゼンの反応が今いちだったりするのは、もしかすると資料のデザインが良くないために、伝えたいことがきちんと伝わっていないからかもしれないのです。

では、どうしたら見栄えを良くすることができるのでしょうか。実は、見栄えを良くするために必要なのは、センスではありません。学校や会社では教わることのなかった、デザインの基本的なルールに従えばいいのです。

例えばこの名刺⁠。ただ必要な文字を並べただけで、果たして自分のことをわかってもらおうという気があるのか、疑わしくなってしまうストレスフルな名刺です。

図1 並べただけ
図1 並べただけ

これを、基本ルールに従って変更してみます図2⁠。

図2 ルールに従ってデザイン
図2 ルールに従ってデザイン

見栄えがよくなっただけでなく、どこのどういう人なのか、連絡先はどこなのか、見てすぐわかるようになりました。情報が伝わりやすくなったのです。

デザインは、見栄えをよくすることではなく、情報を整理してわかりやすく伝えることが第一目的です。基本ルールに従ってデザインし、受け手のストレスになりそうな要素を減らしていけば、理解しやすい、そして見栄えもよい資料を作ることができます。よい資料とは、かっこいい資料ではなく、伝わりやすい資料なのです。

書籍伝わるデザインの基本 よい資料を作るためのレイアウトのルールでは、フォントの選び方、文字の並べ方から、図解、グラフ、配色、全体のレイアウトまで、デザインの基本ルールを豊富な事例とともに解説します。