ビッグデータとアドテクノロジー
Webの閲覧履歴や検索履歴、購入履歴などインターネットを利用するユーザが発生させるデータは膨大になっています。企業や組織は、ビッグデータとも呼ばれるインターネット上のログデータを分析して、マーケティング施策などの意思決定をはじめました。
いち早くそのデータを活用していた広告業界では、データ分析を基にして最適化された広告を配信する技術を進化させています。
約0.1秒間で行われるオークション
たとえば、Web上の広告枠に以前検索を行った商品が表示されることに気付いている方は多いと思います。これはもちろん他のユーザと同じ広告が表示されているわけではなく、それぞれのユーザに合わせた広告が配信されています。
意識することなく表示されている広告ですが、ユーザがWebページのURLをリクエストして表示されるまでの間に何が行われているのでしょうか。かんたんに解説しますと、まず次のような情報をサーバに送信します。
- Webページに用意されている広告枠の情報
- Webページ自体の情報
- ユーザ情報
サーバ側では、この情報をもとに広告出稿のオークションを行います。Webページ側で相応しくないと判断した広告を拒否するような設定もあります。オークション自体はあらかじめ設定した金額に応じて実施され、落札した広告主の広告素材がサーバから呼び出されてWebページに表示されます。
この一連の流れはわずか約0.1秒の間に行われますので、ユーザが不自然に感じることはありません。しかも、広告枠が設置されているWebページであれば、ユーザのリクエストごとにこのオークションが実施されますので、処理するデータ量がいかに膨大かが分かるでしょう。
最新のアドテクノロジー
アドテクノロジーは、Webページの広告配信時以外にも活用されはじめています。第三者のユーザ情報を組み合わせるしくみも開発され、ユーザの趣味嗜好を推測できるようになっています。
これまではユーザの属性を推定できなかったため、マーケティング施策は非効率的にならざるを得ませんでした。しかし、ユーザの趣味嗜好を分析することで、E-mailをはじめとしたダイレクトメールは効率的に配信できるようになります。また、Webサイト運営者はユーザの好むコンテンツを作成することができるようになったとも言えます。
インターネット上で得られるユーザ情報を活用するマーケティング手法は、他業種にも今後拡大していくでしょう。
巻頭企画 デジタルマーケティング時代のCMO養成講座
- 第1章 オーディエンスデータの理解
- 第2章 ソーシャルメディアの活用法
- 第3章 データドリブンな組織のつくり方
- 第4章 データ解析技術入門
特別企画 アドテクの歴史
- 第1章 ネット広告の登場と変遷
- 第2章 アドテクノロジー最新動向
特集1 アドテクノロジーのしくみからひも解く、ディスプレイ広告の進化
- 第1章 ディスプレイ広告の基礎知識
- 第2章 ディスプレイ広告配信の主要技術と進化
- 第3章 基本的なターゲティングの種類としくみ
- 第4章 RTBによる広告配信のしくみ
- 第5章 プログラマティック取引の課題
特集2 アドテク活用事例
- 第1章 ブランド広告主から見たアドテク
- 第2章 ブランド領域向け新サービス「BLADE-LIFT」の活用事例…石黒 武士
特集3 広告効果の測定方法…小川 卓
- 第1章 広告効果測定入門
- 第2章 Google アナリティクスの活用
- 第3章 広告文責プロセスの基本的な考え方