Unity2Dが流行する理由
Unity2Dとは、ユニティー・テクノロジーズ社が開発した、3Dゲーム開発用マルチプラットフォームゲームエンジンであるUnityのバージョン4.3から追加された2Dゲーム制作に特化した機能群のことです。
従来のUnityで2Dゲームを制作するには特殊なテクニックが必要であったり、あまりゲームエンジンを使うメリットが得られなかったりしましたが、Unity2Dの登場で誰でもかんたんに2Dゲームが作成できるようになりました。とくに2D向けのコンポーネントがいくつか追加されたことで、2Dゲームに最適化された物理エンジンを使ってさまざまなゲームを作ることができるようになっています。
またゲーム開発者にとっても、3Dゲームを作るというのはリソースを確保するという点に問題があり、敷居が高いのが実情でした(それを解決するためにAsset Storeがあります)。2Dゲームであれば自分で適当に絵を描いてもいいですし、2Dのデザインやイラストを作成できるクリエイターはたくさんいます。モバイル端末向けのアプリストアのランキングを見ても、2Dゲームが占める割合の方が圧倒的に多いのもそのためです。
当たり前のことですが、面白いゲームであることと2Dか3Dかにはまったく関係がありません。ゲームの面白さはアイデアしだいです。
ゲーム開発の入門は2Dゲームから
もう1つ重要な点として、ゲーム開発初心者は2Dゲーム開発からはじめたほうがいいと言えます。
2Dと3Dでは座標の数が違います。2Dでは縦横の2つの座標なのに対し、3Dではそれに奥行きが加わります。奥行きが加わることで、各ゲームオブジェクトの座標管理は一気に複雑になり、思い通りにコントロールするのが難しくなるため、挫折の原因になりかねません。
また、手軽にゲームを作ろうとしたときにUnityを使えば、3Dゲーム開発がかんたんにできるのはもちろんなのですが、単純なゲームになればなるほどUnityに作らされるゲームになってしまいます。それでは面白くないですよね。2Dゲーム開発であれば、少し頑張るだけで自分のアイデアを形にできるはずです。
読者対象
本書は、初心者向けに執筆しました。プログラミング初心者でも一からはじめて1本のゲームアプリが開発できるように、できる限りかみくだいてUnity2Dの機能を解説しています。もちろん、Unityにはじめてふれるという方にも読んでいただける内容です。
とは言ってもデザイナーさんなど非プログラマの方にとって、ゲームプログラミングは敷居が高く感じると思います。ですので、筆者は本書の執筆にあたり、知り合いのデザイナーさん達に実際に読んでいただきました。わからない部分や難解な部分を洗い出し、誰でもゲームが作れるということにこだわって執筆しましたので、プログラミング経験のない方でも安心して読んでいただけると思います。
本書の目的
本書では、Unity4.3で新たに追加されたUnity2Dの解説からはじまり、ゲームを作成して、最終的にはモバイルゲーム用広告を組込み、アプリをリリースすることまでを目的としています。
作り込まれたゲームを制作するにはこの本だけではもの足りないかもしれません。しかし現在のカジュアルゲーム(2Dゲーム)市場を見ると、それほど技術的に凝ったゲームではなくても、広告収入などで大成功している例が数多くあります。つまりアイデアしだいで、誰でもチャレンジできる環境が整っているということです。
さいごに
繰り返しになりますが、本書は誰でも2Dゲームを作れるようになることにこだわって執筆しています。本書を読んで、ゲームを作れるようになれば、おそらくゲームに対する見方も変わると思います。この部分はもしかしてこういう風に作ってるのかな? とか、逆にここはどうやって作ってるんだろう? とゲームの中の動きが気になりだしたらそれはとてもいい兆候です。
本書で2Dゲーム作りを学んで、そのゲームがヒットしたらそれほどうれしいことはありません。
Unity2Dと本書を使って「誰でもゲームが作れる」を実際に体験してみましょう。
(はじめにより抜粋)