なぜ売れているのか
昨年9月に刊行して以来、『パーフェクトJavaScript』が好調です。読者の反応をブログなどで見ると好意的にレビューいただいているものもあり、うれしい限りです。
「パーフェクトJavaScriptってどんな本?」という疑問にはこれらのレビューを参考にしていただくとして、今回は『パーフェクトJavaScript』企画制作の背景――「パーフェクトシリーズ」の意図といった“編集後記”的な視点で紹介していきます。
シリーズとしての背景
『パーフェクトJavaScript』はパーフェクトシリーズの4作目にあたります。「パーフェクト○○」シリーズは、いままでもC#、Java、PHPと年1冊ペースで言語解説書を発行しています。
シリーズ共通の構成として、Part1で言語の概要、Part2で言語仕様、Part3以降はその言語でホットなトピックを取り上げる、というルールを守っています。今回の『パーフェクトJavaScript』でいうと、Part3以降ではHTML5、jQuery、Node.jsなどのサーバサイド技術動向などを取り上げています。
この中でも特に注力しているのが、シリーズの心臓部ともいえるPart2の言語仕様です。
たとえば、普段JavaやPHPなどJavaScript以外の言語をメインにして開発しているエンジニアであっても、場合によってはJavaScriptを使うことがあると思います。その際、Webサイトやドキュメント類である程度の言語仕様は理解できると思います。しかし、「なぜJavaScriptではこのように書くのか?」「なぜJavaScriptではxxxはダメなのか?」といった疑問を解決するのは簡単なことではありません。
ですから本シリーズは、言語仕様をすっきりとまとめながら、他言語と違う部分について、なぜそのような仕様なのか、という疑問を解消することにポイントを置いています。
併せて、関連用語の整理・統一にも重点を置いてます。Webであることがらについて検索すれば、必ずいくつかの情報がヒットすることでしょう。ただし、それらをよく読むと、同じことに言及しているように見えるけれども表現や表記が異なっていることがあります。はたしてこれらが同じものを指しているのか、別のものなのかを判断するのは容易ではありません。本シリーズは、こうした混乱を避け、体系立てて理解できるように1冊にまとめることも重視しています。
とはいえ、限られたページ数・限られた時間の中、これらの理想をすべてまとめ上げるのは大変なことなのは事実です。パーフェクトシリーズで刊行した企画の中には、時に執筆陣と意見をぶつけあいながら、一歩一歩進めていったものもあります。
パーフェクトシリーズが無事発刊でき、おおむね読者からよい反響をいただけている一番の理由は、最後まで心を折らず「正しい情報を後から続くエンジニアに伝えたい」という強い意志のもと、大著を書き上げた著者の方々の「良心」なのではないでしょうか?
最後に、著者の一人である井上誠一郎さんからコメントをいただきました。
本書が好評と聞き、著者の一人として非常に嬉しく思います。この場を借りて読者にお礼申し上げます。ありがとうございます。
昔から不精なのか、最近特に不精になったか定かではありませんが、プログラミング言語を楽に習得したいと思っています。ついでに言うと、一度覚えたら忘れにくいのに越したことはありません。しかし、習得が苦行になるのは本末転倒です。極論すればプログラミング言語の習得は知的遊戯だからです。
楽できて、忘れにくく、かつ学ぶ時の知的興奮が得られる習得法がベストです。近道はありません。一瞬で表層をなぞることはできますが、そういう知識は一瞬で記憶から消えていきます。経験則です。自分の経験では、中途半端にやるよりも、いっそ徹底的にその言語にはまってしまうのが結局は近道です。
JavaScriptは変態だとツッコミを入れながら本書を読み進めてくれればと思います。
最後に。JavaScriptを本当に習得したければ手も動かしてください。読んで分かった気になるのと習得には、思った以上に距離があるからです。