IT分野向けに人を活かす人材サービスを展開
IT分野に特化して、人材派遣および請負、人材紹介事業を展開している人材サービス企業、それがパソナテックです。1998年8月の設立以来、登録スタッフ数は現在までに34,000名に達し、“IT HUMANWARE COMPANY”をコンセプトに、『人を活かす』人材サービスを展開しています。
不景気の今こそテストチームを
パソナテック 事業企画部
部長 入江直樹氏
入江氏は、新規開発案件が減少し、開発要員に余剰感のある不景気の今こそ、組織の中にテストチームを結成する好機、と提案を投げかけました。利害関係者が「リスク」に対して敏感になっているなど、組織能力としてソフトウェアの品質を担保することが強く求められている今日、属人的な対処ではなくテストチームを作ることで、ソフトウェアの品質向上に組織的に取り組んでいることを内外にアピールできるからです。
ただ、テスト業務を好むエンジニアはあまり多いとはいえません。開発プロセスの後工程に位置し、そこでの進捗に影響を受けやすく、短期決戦を強いられることが多いこともあるでしょう。重要なのは開発vsテストの構図にしないことで、IT部門として同じ目標を共有し、役割分担と責任分担は明確にしながら、しっかりインセンティブ性のある評価を行うことです。開発力にすぐれているからと多忙なエンジニアに「とりあえずテストして」「今週中に終わらせて」とテスト業務を押しつけるような無理をしているようでは、テストプロセスは機能しません。
派遣を活用すればリソース不足は解消可能
そうはいっても、チームを作れるほどに社内リソースが十分ではないという場合もあります。かといって完全にアウトソースしてしまっては社内にノウハウが残りません。また、そういった業務体制では、コンプライアンス上指揮命令を行うこともできません。
「そこで有効活用していただきたいのが派遣という仕組み」と入江氏は語り、具体的に“おいしいレシピ”として3つのパターンを紹介しました。
1つめは、リーダーには社員を割り当てて、実務対応に派遣エンジニアを採用するケースです。まずは2名ほど用意してみて、状況によって人数の増減を考えます。派遣エンジニアであればこのあたりは自在に調整可能です。
知識、ノウハウに不安があって、メンバーを社員からアサインするのが難しいという場合は、業務経験豊富なリーダーとメンバー2人の派遣チームを活用し、このリーダーが参謀となり社員のマネジャーにナレッジ、ノウハウをサポートします。これが2つめのケースです。
3つめは、社員の活用を最大限に考えるケースです。テストチームを社員と派遣エンジニアの混成チームとします。派遣エンジニアが、業務を通じてナレッジ、ノウハウを社員メンバーに伝えられるため、社員はOJTでテスト業務を習得することができます。
テスト重視の姿勢が企業競争力になる
テストチームづくりで留意することとして、会社トップがテストチームを後方支援する強い意志を示すこと、現場から信頼の厚い開発者をチームリーダーに起用すること、チームメンバーは適正を配慮してアサインすること、ロードマップを作成して作業に優先順位づけをすること、テスト研修は開発チームも受講させること、現場にフィットするツールや考え方を導入すること、定期的に交流の場を持つこと、ゴールに“何かいいモノ”を準備することなどを入江氏は挙げました。
「テストを重視することが企業の競争力になり、エンジニア個人にとっても、開発力だけではアピールしにくい時代、品質を体現できることが人材としての市場価値向上につながります。ぜひ人材サービス会社の活用で、ソフトウェア品質向上を実現してください」
入江氏は受講者の皆さんに力強く訴えかけました。