クラウドを支える技術 ──データセンターサイズのマシン設計法入門
本書について(Abstract)
コンピューティングがクラウド(Cloud)に移行するにつれて,インターネットで使用されるコンピュータプラットフォームは宅配ピザの箱や冷蔵庫のような格好ではなく,倉庫(Warehouse)いっぱいのコンピュータ群になってきています。これらの新しい大規模データセンター(Data center)は伝統的なWebホスティング施設とはまったく異なり,単純にサーバを1ヵ所にまとめて設置した単なる集合と考えることはできません。
パフォーマンスの良いインターネットサービスを提供するためには,このような施設の大部分のハードウェア資源とソフトウェア資源は協調して動作することが必要です。そのためには,施設の設計や運用に一体的なアプローチをとらなければなりません。言い換えると,データセンター全体を1つの巨大な「倉庫サイズのコンピュータ」(Warehouse-Scale Computer,WSC)として考える必要があります。
本書はWSCのアーキテクチャ,その設計で考慮すべき主要な要素,運用,コスト構造,そして運用するソフトウェアの特性などを説明しています。本書が今日のWSCのアーキテクトやプログラマの役に立つだけでなく,今のWSCが1枚のボードに入ってしまうような,これから先のメニーコア(Many-core)プラットフォーム時代の人々にも役立つことを望んでいます。