著者の一言

「プログラミング」とはなんでしょうか?それは、あなたの「おどうぐばこ」に入っている、ハサミやのりのようなもの。

紙を切りたいからハサミをつかいますし、くっつけたいからのりをつかいますよね。

この本にも、⁠したいこと」があってこまっている、にわとりさんやまほうつかいのおじいさんが出てきます。この「したいこと」を、プログラミングでかなえてあげましょう! 何回もプログラミングすれば、あなたがハサミやのりですきなものを作れるように、プログラミングでいろんなものを作れるようになります。

さあ、楽しいプログラミングのたびに出かけましょう!

保護者の方へ

2020年度から、小学校で「プログラミング教育」が導入されました。導入にあたり、

  • 「何歳からプログラミングを学ばせればいいの?」
  • 「プログラミングって難しそう……。幼い子どもには早いのでは?」

といった不安や疑問をお持ちの方もいらっしゃるでしょう。

私としては、ぜひ5才ごろからプログラミングを学んでほしいと考えています。⁠え、早すぎるのでは?」と思われるかもしれません。しかし、5~7才は「言葉や記号の理解」⁠物事を分類したり関連づけたりする力」⁠表現する力」がある程度育っている時期。そのため、5~7才ごろのお子さまであれば、

  • 頭の中の言葉やプログラミング言語に使われている記号を駆使すること
  • 順序だてたり筋道をたてたりしながらプログラミングすること
  • 物語やゲームなどの場面展開を考え、表現すること

ができるので、プログラミングで物語やゲームを作れてしまうのです。

また、この時期にプログラミングを学ぶことで、お子さまの「物事を順序だてたり筋道をたてたりする力」を早い段階で養うことができます。これは、算数や国語など、主要な教科を学ぶときに必要な力です。たとえば、1年の算数で「なんばんめ」というふうに数で順序や位置を表すことを学びます。この学習は算数の最も基礎となる内容であり、⁠順序だてて考える力」が問われますね。

プログラミングを学ぶことは、こういった学校教育でおこなわれるさまざまな学習の基礎となるので、小学校低学年までに、しっかり身につけたいところです。

では、幼いお子さまにプログラミングをどのように教えたらいいのでしょうか?

なにより大事なことは、⁠お子さま自身」が楽しんでプログラミングに取り組むことです。なぜなら「物事を順序だてたり、筋道をたてたりする力」は、プログラミングをする中で自然と身につきますが、お子さまが途中で飽きてしまい、持続できなければ意味がありません。

そこで、本書では、お子さまが主体的に楽しくプログラミングを学ぶために、⁠物語」を組み込みました。物語の内容も、主人公とともにプログラミングでキャラクターの問題を解決し、キャラクターに感謝されるような構成にしています。このことで、お子さまはプログラミングを通して達成感や満足感を持ち、主体的にプログラミングに取り組むことができることでしょう。

そして、保護者の方には、ぜひお子さまと一緒にプログラミングしたりゲームをしたりして、物語の世界のプログラミングを楽しんでください。そうしていただくことで、お子さまはいっそう達成感や満足感をもって、プログラミングに取り組むことができます。

ほかにも、はじめてプログラミングに取り組む幼いお子さまが、主体的に楽しく取り組めるように、以下のような工夫を取り入れています。

  • かんたんな言葉や絵でわかりやすく説明
  • はじめてプログラミングに接するお子さまに適したプログラミングレベル
  • 5~7才のお子さまを対象としてつくられた、入門用のプログラミング言語(ScratchJr)で作成

さらに、本書で作成するゲームは、多くのゲームのパターンである「ゲームクリア/ゲームオーバー」という、いわば二者択一の「勝ち負け」で結果を出しません。プレイヤーが「最後までがんばる」⁠問題を解決するために努力する」といった、問題を解決するまでの過程を大切にした、より教育的なプログラミングになっています。

本書を手にしたお子さまが、主人公とともにプログラミングで「つくる」楽しさを味わい、⁠できた!」⁠わかった!」という自信をもって、将来もプログラミングに興味や関心を持ってもらうことができましたら、大変うれしく思います。