知の扉 江戸時代の数学最前線 〜和算から見た行列式〜
- 小川束,森本光生 著
- 定価
- 1,738円(本体1,580円+税10%)
- 発売日
- 2014.7.5[在庫なし] 2014.7.15
- 判型
- 四六
- 頁数
- 224ページ
- ISBN
- 978-4-7741-6601-8 978-4-7741-6969-9
サポート情報
概要
和算研究の先駆けとなった関孝和は,高次の連立方程式の解法(いまでいう行列式)を,微分積分を作り上げたライプニッツよりも早く発見していました。本書では,関孝和がどのようにして方程式を解いたのかを解説します。
こんな方にオススメ
- 和算に興味がある人
- 線形代数,特に行列や行列式が苦手な人
目次
- はじめに
第1章 行列式とは何か
- 1.1 行列式のとりあえずの定義
- 1.2 行列に関するいくつかの用語
- 1.3 『大成算経』の中の行列式
第2章 連立1次方程式の話
- 2.1 簡単な連立1次方程式
- 2.2 退化した連立1次方程式
- 2.3 中国数学の原点『九章算術』
- 2.4 『九章算術』第8章,方程
第3章 東アジア数学における代数学
- 3.1 『算学啓蒙』の成立と伝来
- 3.2 『算学啓蒙』の目次
- 3.3 開平の道具としての算盤
- 3.4 関孝和と建部賢弘
- 3.5 算盤代数としての天元術
- 3.6 江戸時代の数の概念
- 3.7 関孝和著『解隠題之法』の紹介
第4章 行列とその演算
- 4.1 スカラー
- 4.2 連立1次方程式の行列表示
- 4.3 行列の定義(再論)
- 4.4 行列の積(再論)
- 4.5 逆行列
- 4.6 正則行列
- 4.7 基本変形(再論)
第5章 行列と行列式
- 5.1 クラメルの公式と余因子行列
- 5.2 置換の話
- 5.3 行列式の一意性
第6章 連立代数方程式の消去理論
- 6.1 立元の法(天元術)と一般開方術
- 6.2 連立代数方程式を解くアルゴリズム
- 6.3 2乗化と3乗化
- 6.4 『発微算法』の例題
- 6.5 『大成算経』の例題
- 6.6 変数の消去 素朴な方法
- 6.7 シルベスターの終結式
- 6.8 関孝和のアルゴリズム
- 6.9 『大成算経』第17巻
第7章 巻末補遺
- 7.1 定理1.2.1の証明
- 7.2 定理5.3.1の証明(スケッチ)
- 7.3 付録
プロフィール
小川束
1954年生まれ。学習院大学理学部数学科卒業,同大学院自然科学研究科博士課程中退。学術博士(東京大学)。現在,四日市大学環境情報学部教授,同関孝和数学研究所副所長。
主な著書:『数学の歴史―和算と西欧数学の発展』(講座数学の考え方24,共著,朝倉書店,2003年),『建部賢弘の数学』(共著,共立出版,2008年),『関孝和論序説』(共著,岩波書店,2008年)ほか。
森本光生
1942年生まれ。東京大学理学部数学科卒業,同大学院理学系研究科数学専攻博士課程中退。理学博士(東京大学)。現在,上智大学名誉教授,内蒙古師範大学客座教授,四日市大学関孝和数学研究所副所長。
主な著書:『復刊・佐藤超函数入門』(共立出版,2000年),『建部賢弘の数学』(共著,共立出版,2008年)ほか。