前回までの連載のあと、2023年秋に
AIとの連携
ObsidianはノートアプリやPKM
- ローカル環境で動作する
- Markdownで書いたノートをリンクできる
- 階層型のタグで管理できる
- プラグインで拡張できる
そんな中、2025年になって注目された背景として、
生成AIの進化
2022年末にChatGPTが公開されて以降、生成AIのブームが始まりました。生成AIの中でも、チャット形式で自然なやり取りができるアプリはLLM
ただし、多くのチャットアプリは一般的な情報を返すもので、会社などの組織内の文書を参照するわけではありません。また、応答には
それでも、最近ではWebの検索結果を参考にして根拠を示すチャットアプリが登場するなど、ある程度の精度が得られるようになってきました。自分の知りたいことを検索するときに、Googleなどの検索エンジンを使うのではなく、チャットアプリに質問する使い方をしている人も多いでしょう。
RAGとMCPの登場
2023年頃から注目を集めたのが

LLMの性能向上もあわさって、回答の精度が高まるとともに、ほしい情報が得られるようになってきました。
しかし、RAGではアプリごとに検索システムを開発する必要がありました。ChatGPT、Google Gemini、Perprexityなど、それぞれのアプリに対応するには手間がかかります。
そこで2024年に登場したのが
Obsidianもこの流れに対応し、

AIエージェントの登場(CursorやCline)
もう1つの大きな潮流はAIエージェントの登場です。これまでは人間が指示をして、AIが応答する形でしたが、AIエージェントは一度指示を与えれば自律的に次々と作業を進めます。
たとえば、MCPなどと組み合わせると、カレンダーアプリからスケジュールの空きを確認し、鉄道やホテル、レンタカーを予約、まとめた内容を自分宛にメールしたり、カレンダーアプリに予定を登録したりできるようになると期待されています。

現時点で、AIエージェントとして、CursorというAIテキストエディタやClineという拡張機能がよく使われています。プログラミングであればどのファイルにどのような処理を記述するのかをAIエージェントが提案し、その作業について確認を求めてきます。人間は、それを承認するだけです。
このようにAIエージェントを活用すると、人間は作業の可否判断に集中でき、記事や資料のまとめなどの作業も自動化できます。
生成AIやMCP、AIエージェントで実現できること
さて、上記で解説した生成AIやMCP、AIエージェントが登場して便利になることとして、次の3つが挙げられます。
- ノートの自動生成
- 保存したノートの便利な検索
- ノートの自動整理
それぞれ、具体的に見ていきましょう。
ノートの自動生成
従来、ノートは自分で書くものでした。ObsidianはPKMツールと呼ばれるように、個人の知識を管理するためのアプリです。つまり、自分の知識をどれだけ言語化できるかがポイントでした。
しかし、生成AIやMCP、AIエージェントの登場により、これらは大きく変わってきます。プログラミングなどで自動補完が便利なように、人間の考えていることを先読みして文章を生成してくれれば、ノートを作成する手間が大きく減ります。さらに、自分が知りたい内容をAIエージェントに指示すると、さまざまなWebサイトから情報を収集し、それをまとめたノートを作成してくれます。
自分が想像していることに加えて、AIが作成した文章から新しい発見を得ることも多いものです。つまり、自分自身が一部しか想像できていなくても、LLMとの対話から得た内容からノートを生成することで、知識が広がるようになりました。
保存したノートから便利に検索できる
自分が作成したノートでも、時間が経つとどのような内容をノートとして記録したのかわからなくなります。最近のノートであれば、ある程度は覚えていても、数年前に書いたノートでは、そもそも書いたことすら忘れていることがあります。
さらに、ノートを自動生成すると、自分が作成した意識が希薄な状態のノートが多くできあがります。そうなると、ノートを残しておいても意味がないと感じるかもしれません。
しかし、MCPで検索すると、作成しておいたノートから柔軟に見つけられるようになりました。これまでのようにキーワードで検索するのではなく、曖昧な文章で検索しても、ほしいデータを見つけてくれるのです。
つまり、自分の興味があること、脳内にイメージしていることをLLMの力を借りながらノートとして作成しておけば、あとから検索できるようになったのです。さらに、
ノートを自動で整理できる
ノートを手軽に検索できるようになっても、自分が記録したノートは分類しておきたいものです。分類しておかないと、情報の関連性を把握できませんし、どういった分野のノートが多いのか、少ないのかもわかりません。
たとえば、プログラミングに関するノートであれば、プログラミング言語ごとに分類しておくと、特定のプログラミング言語についてのノートが多い、少ない、といったことに気づきます。
これを実現するためには、ノートをフォルダやタグによって分類することが考えられます。Obsidianはどちらにも対応していますが、1つのノートに複数のタグをつけることで、柔軟に分類できます。
このとき、どのようなタグをつけるのかは人によって違います。そこで、タグをつけるときに使うルールを、事前にAIエージェントに設定しておきます。これにより、そのルールに沿ったタグをAIエージェントによって自動で付与でき、膨大な数のノートがあっても体系的に分類できます。
Obsidianである必要性
ここまでの解説を読んで、Obsidianである必要性に疑問を持った方がいるかもしれません。CursorやClineなどを使って、単にテキストデータとして保存するだけであれば、テキストエディタで十分です。
また、Notionのようなツールでも
テキストデータで保存されていること
まず重要なのは
テキスト形式で記述すると表現力に問題があると考える人もいますが、フローチャートやガントチャートなどをテキストで記述して見栄えよく表現できるMermaidのようなツールもあります。専用のソフトウェアを使って効率よく保存するという考え方もありますが、表現力の面で遜色ないのであればテキストデータで保存しておくと書き換えも便利です。
よく
また、テキストデータとして作成しておくと、Gitなどを使ってバージョンを管理することもできます。差分を見比べて、いつ、どの部分を変更したのかも把握できます。
ローカルに保存していること
最近はオンラインストレージをはじめとして、クラウドで保存することが当たり前になりました。インターネットに接続できればどこからでもアクセスできますし、複数の端末での同期を考える必要はありません。チームでの情報共有などを考えると、NotionやCosenseなどのツールが便利です。
一方で、チームで共有しない個人のノートのようなデータであれば、ローカルに保存しておいても問題ありません。そして、ローカルにデータがあればテキストエディタなどで自由に編集できますし、コマンドで操作することもできます。複数のファイルを同時に開いて見比べたり、一括で置換したりすることも自由自在です。
そして何よりも、インターネットへの接続がない状態でも使えることが挙げられます。LLMとのやり取りにインターネットへの接続は必要ですが、最近はローカルLLMも登場しており、手元の環境だけで実行できるようになりました。
プラグインで拡張できること
テキストデータをローカルに保存するだけであれば、Obsidianである必要はありません。Markdown形式で保存し、VS Codeのようなテキストエディタでファイルを編集するだけでも十分です。
それでもObsidianが注目されている理由として、プラグインで拡張できることがあります。公式のコアプラグインのほか、多くの開発者によるコミュニティプラグインが提供されており、無料で使用できます。
これにより、タスク管理やプロジェクト管理、データベースのような使い方など、さまざまな場面でノートを活用できます。
リンクでつなげられること
Obsidianの特徴として、ノート間をリンクでつなげられることが挙げられます。1つの大きなノートとして作成するのではなく、小さなノートとして作成し、それをリンクでつなげていくことが推奨されています。
また、Obsidianには
まとめ
Obsidianはノートアプリなので、ノートの作り方や使い方は人それぞれです。今回紹介したような生成AIやMCP、AIエージェントを使わなくても、これまで通りに自分のノートを管理するように使えます。
それでもAIとの連携を考えると、より便利な使い方ができます。Obsidianの基本的な使い方を理解したうえで、AIと連携するときに便利な