Google⁠LLMを使って新たなアルゴリズムを見つけるコーディングエージェント「AlphaEvolve」発表

Googleは2025年5月14日、大規模言語モデルを使ってより優れたアルゴリズムを開発できるコーディングエージェント「AlphaEvolve」を発表した。

AlphaEvolveは同社が開発するGeminiシリーズのLLMがもつ創造的な問題解決能力と、回答を検証する自動評価機能を組み合わせた進化的フレームワークをもつコーディングエージェント。自動化された評価機構から継続的にフィードバックを受けることでアルゴリズムを反復的に改善し、より優れたアルゴリズムを実装したプログラムを提案することができる。数学やコンピュータサイエンスなど、進捗状況を明確かつ体系的に測定できる分野でとくに効果を発揮するという。

たとえば、Googleのもつ巨大なデータセンター群を効率的にオーケストレーションするためのアルゴリズムをAlphaEvolveに設計させ、この1年間運用したところ、全世界のコンピューティングリソースを平均0.7%継続的にリカバーすることができるようになった。またAlphaEvolveは同社のAI用プロセッサTPU(Tensor Processing Unit)の設計にも活用され、すでに高度に最適化された演算回路から、さらに不要なビットを削除するVerilog書き換えを提案し、機能の正確性を維持していることを確認するための厳格なテストにも合格しているという。

このほか、AlphaEvolveはLLM自体のトレーニングにも利用されている。大規模な行列乗算演算を扱いやすいサブ演算に分割するこれまでよりスマートな方法を発見、Geminiアーキテクチャの実装を23%高速化し、Geminiの学習時間を1%短縮した。またGPU命令の最適化にも貢献し、TransformerベースのAIモデルにおけるFlashAttentionカーネル実装を最大32.5%高速化したとのこと。

AlphaEvolveの機能などの詳細は公開されているホワイトペーパーで確認できる。AlphaEvolveは現在Google社内のみで利用されているが、将来的には社外のユーザにアーリーアクセスプログラムなどを通じて提供される予定。そのための待機リスト登録フォームも用意されている。

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