1月13日、ジュンク堂書店池袋本店にて「新春座談会 このコンピュータ書がすごい! 2018年版 ——2017年に出たコンピュータ書ならこれを読め!——」が開催されました。このイベントの模様を写真を中心にレポートします。
本イベントは、昨年2017年にジュンク堂書店池袋本店で販売された書籍の中から注目したい作品を、読者側代表の高橋征義さん(達人出版会、日本Rubyの会)が、コンピュータ書を刊行している出版社で活躍する編集者らと紹介し倒すという企画です。今年出演の編集者はこれまで同様、稲尾尚徳さん(技術評論社)、杉山聡さん(SBクリエイティブ)、村田純一さん(ビー・エヌ・エヌ新社)、森田尚さん(ビー・エヌ・エヌ新社)、矢野耕次さん(オライリー・ジャパン)です。
左から矢野さん、森田さん、村田さん、高橋さん、杉山さん、稲尾さん。写真の書籍は『Clean Code アジャイルソフトウェア達人の技』(KADOKAWA)
2017年の年間ランキング
最初に、ジュンク堂書店池袋本店におけるコンピュータ書の販売冊数をもとにした、2017年の年間ランキングを紹介しました。なお、ランキングからは年賀状素材集、雑誌、ムック、資格試験書は除外されています(月刊ランキングでも同じ)。
2017年、年間ランキングの書籍。また今回の会場では、先行販売の書籍として『プログラマの数学 第2版』』(SBクリエイティブ)、『仕事ではじめる機械学習』(オライリー・ジャパン)、『プログラマーとお仕事をするということ』(翔泳社)も置かれていました。
年間ランキング1位の『ゼロから作るDeep Learning』(オライリー・ジャパン)を紹介する矢野さん
過去10年の年間ランキング
今回はイベントが10回目(つまり10年目)でもあります。特別に過去の年間ランキングを簡単に振り返りました。この記事では各年の1位になった書籍を掲載します。
高橋さんがお勧めする2017年刊行書籍の2冊
次に、2017年刊行された書籍のうち、高橋さんがお勧めしたい書籍として『Androidを支える技術』の2冊を取り上げました。著者の有野和真氏からのコメントも届き、あわせて紹介しました。
『Androidを支える技術〈Ⅰ〉 ──60fpsを達成するモダンなGUIシステム』と『Androidを支える技術〈Ⅱ〉──真のマルチタスクに挑んだモバイルOSの心臓部』を紹介する高橋さん
『Androidを支える技術』の書籍内容を説明するために用意されたフリップ。しかしイベントでは簡単に紹介するのみにとどまりました。ここに掲載しておきます
2017年の特徴
また、2017年に刊行された書籍のうち、2017年の話題であり、数多く刊行された書籍ジャンルとして「Python」「機械学習・人工知能」「ブロックチェーン」を挙げ、各ジャンルの書籍を紹介しました。
数多く刊行されたPythonに関する書籍。写真は『いちばんやさしいPythonの教本』(インプレス)、『詳細! Python 3 入門ノート』(ソーテック社) 『スラスラわかるPython』(翔泳社)、『Pythonエンジニア ファーストブック』(技術評論社)
データ分析環境のためJupyter Notebookの使い方を解説した『PythonユーザのためのJupyter[実践]入門』(技術評論社)
講談社の機械学習を解説したシリーズに入門者向けのシリーズも加わりました。写真は『ベイズ推論による機械学習入門』、『これならわかる深層学習入門』、『画像認識』、『音声認識』、『統計的因果探索』
機械学習を学ぶためには数学の知識が必要になります。そういった数学を説明する書籍も刊行されました。 写真は『やさしく学ぶ 機械学習を理解するための数学のきほん』(マイナビ出版)、『算数でわかるPythonプログラミング』(オーム社)、『ディープラーニングがわかる数学入門』(技術評論社)
自然言語処理に関する書籍も複数刊行されました。写真は『語学学習支援のための言語処理』(コロナ社)
読みもの風の書籍も刊行されています。写真は『働きたくないイタチと言葉がわかるロボット』(朝日出版社)
スマートスピーカーに関する書籍も刊行され始めました。写真は『AIアシスタントのコア・コンセプト』(ビー・エヌ・エヌ新社)
昨年に引き続き話題のブロックチェーンに関する書籍も刊行されました。写真は『ブロックチェーン技術入門』(森北出版)
2017年の月間ランキング
そして、1月から12月までの月間ランキングを各月ごとに紹介しました(イベントでは、ここまでで取り上げた書籍の紹介は省略しています)。また、月間ランキング外でもその月に刊行された興味深い書籍や、そのジャンルの書籍をまとめて紹介しました。
なお、この記事では6位までを掲載します。また、この項に掲載した写真の場所は刊行された月に合わせため、イベントでの紹介順とは限りません。
2017年1月
Drupal 8の書籍が刊行されました。写真は『Drupal 8スタートブック』(インプレス)
CLIP STUDIO PAINTの書籍が複数刊行されました。写真は『CLIP STUDIO PAINT 基礎力を上げるテクニカルガイド』(エムディエヌコーポレーション)、置かれている書籍が『ショートアニメーション メイキング講座』(技術評論社)
Angularに関する書籍が複数刊行されました。写真は『Angular2によるモダンWeb開発』(日経BP社)、8月刊行の『Angular アプリケーションプログラミング』(技術評論社)、11月刊行『AngularによるモダンWeb開発 実践編』(日経BP社)、12月刊行の『Angularデベロッパーズガイド』(インプレス)
2017年2月
2017年3月
Reactに関する書籍が複数刊行されました。写真は『Reactビギナーズガイド』(オライリー・ジャパン)、7月刊行の『Node.jsとReactアプリケーション開発テクニック』(ソシム)、9月刊行の『作りながら学ぶReact入門』(秀和システム)
久しぶりに刊行されたSSLに関する書籍『プロフェッショナルSSL/TLS』(ラムダノート)
子ども向けのプログラミング書は多数刊行されました。写真は『ビスケットであそぼう 園児・小学生からはじめるプログラミング 』(翔泳社)、12月刊行の『できるキッズ 子どもと学ぶ ビスケットプログラミング入門』(インプレス)
2017年4月
2017年5月
フロントエンドのパフォーマンスに関する書籍が刊行されました。写真は『Webフロントエンド ハイパフォーマンス チューニング』(技術評論社)と、担当書籍の『超速! Webページ速度改善ガイド』(11月刊行、技術評論社)を紹介する稲尾さん。
2017年6月
Xamarinに関する書籍も複数刊行されました。写真は『プログラミングXamarin 上』(日経BP社)
幅広い分野で重要度が上がっているGPUを解説した『GPUを支える技術』(技術評論社)
書籍を開いて紹介することもあります。写真は『アルゴリズム図鑑 絵で見てわかる26のアルゴリズム』(翔泳社)
クラウドに関する書籍も多数刊行されました。写真は『サーバーレスシングルページアプリケーション』(オライリー・ジャパン)、裏に隠れている『実践AWS Lambda』(マイナビ出版)
2017年7月
2017年8月
今年を代表する1冊として紹介された『SRE サイトリライアビリティエンジニアリング』(オライリー・ジャパン)
初音ミクも10周年でした。写真は『初音ミク 10th Anniversary Book』(KADOKAWA)
『私たちはみなメイカーだ』を紹介する矢野さん
2017年9月
『ふつうのLinuxプログラミング 第2版』(SBクリエイティブ)を紹介する杉山さん
会場には著者や編集者の人も多く、合いの手が入ります。『[改訂新版]Emacs実践入門』は著者の大竹智也氏がコメントしました
関数型プログラミングの書籍が複数刊行されました。写真は『Haskell入門 関数型プログラミング言語の基礎と実践』(技術評論社)、『純粋関数型データ構造』(KADOKAWA)
『大熱血! アセンブラ入門』(秀和システム)の分厚さを強調する杉山さん
2017年10月
『テスト駆動開発』(オーム社)を紹介する森田さん
今年を代表する1冊と紹介された『ソーシャルアプリプラットフォーム構築技法』(技術評論社)
Kotlinに関する書籍が複数刊行されました。写真は『Kotlinイン・アクション』(マイナビ出版)、『Androidアプリ開発のためのKotlin実践プログラミング』(12月刊行、秀和システム)
2017年11月
あらゆる環境やユーザーが使いやすいウェブサイトの実装方法を解説した『インクルーシブHTML+CSS & JavaScript』(ボーンデジタル)
Rubyの書籍も多数刊行されています。写真は『プロを目指す人のためのRuby入門』(技術評論社)
2017年12月
『デザイン組織のつくりかた デザイン思考を駆動させるインハウスチームの構築&運用ガイド』(ビー・エヌ・エヌ新社)を紹介する村田さん
『悲劇的なデザイン あなたのデザインが誰かを傷つけたかもしれないと考えたことはありますか?』(ビー・エヌ・エヌ新社)も紹介する村田さん
終わりに
2時間のトークセッションとなりましたが、予定していた書籍すべてを無事に紹介しました。最後に各編集者が今年の抱負などを述べ、イベントが終了しました。
この記事で紹介した書籍は、イベントで紹介された書籍の一部に過ぎません。興味を持った人はぜひ動画をご覧ください。また、ジュンク堂書店池袋本店では「このコンピュータ書がすごい! 2018年版」フェアを開催中です。近くにお住まいの人はぜひ店頭に足を運んでみてください。