Linux Daily Topics

これが答えだ!” Fedora Linux 42リリース ―KDE Plasmaはエディションに昇格

Fedoraプロジェクトのリーダーを務めるMatthew Millerは4月15日、⁠Fedora Linux」の最新版となる「Fedora Linux 42」のリリースをアナウンスした。従来までのエディション「Workstation(デスクトップ/GNOME⁠⁠Server(サーバ⁠⁠IoT(エッジ⁠⁠Cloud(クラウド⁠⁠CoreOS(コンテナ⁠⁠」に加え、デスクトップ環境にKDE Plasmaを採用した「KDE Plasma Desktop」が新たにスピン(Spin)からエディションに昇格している。

Fedora Linux 42ではLinuxカーネルに3月にリリースされたばかりのLinux 6.14を採用、またデスクトップ版のデフォルトはこちらも3月リリースの「GNOME 48(開発コード⁠Bengaluru⁠⁠」が搭載されている。また、本リリースからエディションに昇格したKDE Plasma Desktopには2月にリリースされた「KDE Plasma 6.3」のバグフィクスバージョン「KDE Plasma 6.3.4」⁠4月1日リリース)が搭載されており、カーネル/デスクトップ環境ともに最新のリリースをサポートしている。なお、GNOMEベースのエディション名が汎用的な「Workstation」であるのに対し、KDE Plasmaベースは「KDE Plasma Desktop」と技術仕様がそのまま名称になっていることについてMillerは「デスクトップエディションの名称がすこしわかりにくい状態になっているが、この問題はいずれ解決する予定だ」とコメントしている。

また、Workstationのインストーラでは大幅にアップデートされたAnaconda WebUIがデフォルトとなっており、従来のハブ&スポーク(Hub & Spoke)モデルからウィザード(Wizard)スタイルのインタフェースに変更されている。なお、Fedora Linux 42からはWaylandネイティブとなりX11への依存を排除、これによりリモートグラフィカルインストールのプロトコルが、VNCからRDPに変更されている。また、Anacondaでは(x86_64だけではなく)すべてのアーキテクチャにおいて、パーティショニングテーブルとしてマスターブートレコード(MBR)ではなくガイド付きパーティショニング機能のGUIDパーティションテーブル(GPT)をデフォルトで使用している。

Fedora Linux 42のその他のおもなアップデートは以下の通り。

  • 新しいデスクトップ環境(スピン)としてRustベースの「COSMIC」が登場
  • Windows Subsystem for LInux(WSL)ユーザ向けにFedoraイメージを提供
  • IBus‐Speech-To-TextによるIBusサポートアプリケーションでの音声テキスト変換
  • x86ノートブック/タブレットに搭載されている内蔵カメラ(x86 MIPIカメラ)のサポート
  • DNF5に新しいロジックを追加、期限切れや古くなったリポジトリキーをシステムから自動的に削除
  • Firewalld IPv6がデフォルトでlooseに設定(IPv6_rpfilter=loose)
  • Intel SGX(Software Guard Extensions)の有効化

なお、Fedora Linux 42はMatthew Millerがプロジェクトリーダーとして統括した最後のリリースとなる。MillerはFedora Linux 42のアナウンスの冒頭、ダグラス・アダムスによる英国のSFシリーズ『銀河ヒッチハイク・ガイド(The Hitchhiker's Guide to the Galaxy⁠⁠』にある「生命、宇宙、そして万物についての究極の疑問の答え(Answer to the Ultimate Question of Life, the Universe, and Everything⁠⁠」になぞらえて、以下のようにコミュニティに敬意をあらわしている。

7万5000世代前(750万年前⁠⁠、我々の祖先は巨大なコンピュータを動かし、究極のLinuxディストリビューションを作成するように指示した…いや、ちょっと待って。⁠コンピュータは)そんなに昔の話じゃないし、これは別のこと(SF)なんだけど。でも、どちらにとっても人生、宇宙、そして万物への答えは⁠42⁠であり、我々にとっては今回オフィシャルになったリリースのFedora Linux 42がそれにあたる。Fedora Linuxのリリースはどれもコミュニティの巨大な努力の結晶だ。世界中のオープンソース開発者によって作られたソフトウェアがこれほど素晴らしいかたちでまとまるとは、まったくもってありえないことのように思える。だが、我々はふたたびここ(リリース)に来た。Fedoraと、すべてのアップストリームプロジェクトに尽力してくれる全員に心から感謝したい。

Millerの後任にはFedoraプロジェクトの黎明期からのコントリビュータであるJef Spaleta(Fedora理事に選出後、数年間アラスカと南極でオーロラの研究に従事)が、6月のFedoraイベント「Flock」で就任する予定だ。Miller自身は「⁠⁠さようなら、いままで魚をありがとう⁠[1]と締めたい気持ちもあるけど、そこまで遠くに行くつもりはなく⁠⁠、Red Hatでの勤務を続けながら、⁠⁠宇宙の果てのレストラン⁠[2]でFedoraに関わる仕事に携わっていくつもり」とコメントしており、今後もコミュニティLinuxエンジニアリングチームのマネージャとしてFedoraに関与していくことになっている。

おすすめ記事

記事・ニュース一覧