Ubuntu Weekly Recipe

第858回Ubuntu 25.04の変更点

今回は4月17日にリリースされる予定のUbuntu 25.04の特徴的な変更点をお知らせします。

Ubuntu 25.04 ”Plucky Puffin”

Ubuntu 25.04のコードネームは「Plucky Puffin」で、⁠勇気あるツノメドリ」という意味です。24.10に続いて鳥類です。サポート期間は9か月間なので、より長いサポート期間が必要な場合は24.04.2 LTSをインストールしてください。

デフォルトのデスクトップは図1です。

図1 25.04のデフォルトのデスクトップ
図1

リリースノート

25.04をインストールする前に、必ずリリースノートに目を通してください。リリースノートは現在でも読めますが、日本語訳などの詳細な情報はリリース後に公開される(予定の)Ubuntu Weekly Topicsに掲載されます。

インストーラー

実のところ25.04はあまり特徴的な変更点がありませんが、インストーラーに関しては大きく手が入っています。

インストールされているUbuntuを削除してインストール

インストールしたいストレージにUbuntuがすでにインストールされている場合、⁠どうやってUbuntuをインストールしますか?」「⁠⁠インストールされているUbuntuのバージョン)を削除してUbuntuをインストール」⁠Erase Ubuntu XX.XX and install Ubuntu)が追加されました。図2

図2 ⁠Erase Ubuntu XX.XX and install Ubuntu」が追加された
図2

今までは「ディスクを削除してUbuntuをインストールする」しか選択肢がなかったので、よりわかりやすくなったのではないでしょうか。図3の最終確認画面を見ると、Ubuntuがインストールされているパーティションだけを削除してそこに新バージョンをインストールしているようなので、1つのストレージで複数のパーティションを切っているようなケースで便利になりました。換言すると、/home/を別パーティションにしているような場合、インストールが簡単になりました。

図3 インストール実行前の最終確認画面
図3

LVMと暗号化を使用

また、⁠高度な機能」「LVMと暗号化を使用」を選択できるようになっています図4⁠。第783回の23.10から実装されたディスク丸ごと暗号化(Full Disk Encryption = FDE)とはまた別の、LVMとLUKSを組み合わせる方式です。第846回のようなTPMを使用する方式でもないため、起動時に毎回パスフレーズの入力が必要になります。

図4 ⁠LVMと暗号化を使用」が常に表示されるようになった
図4

リリースノートの説明を解釈すると、⁠WindowsはBitLockerで暗号化しているのに、Ubuntuが暗号化しないのはおかしいですよね? よって、簡単に暗号化できるようにしておきました」ということを意図していると思われます。

BitLockerパーティションとの共存

Ubuntu Weekly Topics 2024年11月15日号にある、BitLockerが有効な環境における「⁠暗号化されていない」領域へのインストールモードがサポートされました。

つまり、BitLockerで暗号化されたパーティションがあり、かつUbuntuをインストールするのに充分な空き領域がある場合、そこにパーティションを作成してのUbuntuのインストールができるようになりました図5⁠。

図5 BitLockerパーティションを検出したところ
図5

今更述べるまでもありませんが、Windowsのパーティションは簡単かつ安全に拡大縮小ができるため、事前に空き領域を作成しておけばUbuntuのインストールができます。

25.04 = GNOME 48

25.04のGNOMEはおおむねGNOME 48になっています。いつもの表を見ていきましょう。

バージョン コンポーネント(パッケージ名)
3.36.x gnome-menus
3.41.x gcr
3.54.x gnome-online-accounts
3.56.x gnome-terminal
42.x yelp
43.x gnome-power-manager
45.x gnome-logs
46.x gnome-disk-utility
47.x eog, gnome-bluetooth-3-common, gnome-session-bin, gnome-user-docs, seahorse, ubuntu-session
48.x adwaita-icon-theme, baobab, gdm3, gnome-calculator, gnome-characters, gnome-clocks, gnome-control-center, gnome-font-viewer, gnome-initial-setup, gnome-keyring, gnome-remote-desktop, gnome-settings-daemon, gnome-shell, gnome-system-monitor, gnome-text-editor, mutter-common, nautilus, orca, papers, tecla

わかりやすい変更点は、⁠ドキュメントビューアー」⁠パッケージ名はevince)の代わりに「ドキュメントビューアー」⁠パッケージ名はpapers)が追加されていることです。

日本語名だと紛らわしいので英語名にしますが、PapersはEvinceからフォークしてGTK4にポーティングされたバージョンです。図6のように、Evinceから受ける印象とはすこし異なりますが、これはGTK4にポーティングされたからであり、機能的にはあまり大きな変更はありません。

図6 PapersでPDFを表示したところ
図6

GNOME 48の新機能として興味深いのは、⁠設定」「Wellbeing」が追加されたことでしょう図7⁠。

図7 Wellbeingの表示例。起動しっぱなしで寝てしまったので、このようなことになっているだけであり、ずっと使用していたわけではない
図7

Wellbeingの定義についてはWikipediaに詳しいです。ただし、機能的にはQOLに近いのか、一定時間を経過するとディスプレイをグレースケールにしてしまったり、休憩を促すリマインダーを表示したりできるようです。

イマドキの機能ではありますが、Ubuntuを使い続けることが直接幸せにつながるような(筆者のような?)人には、大きなお世話なのかもしれません。しかし、何事も程々が大切であるということを知るには便利な機能です。

あと注目すべきは、GNOMEの項目に掲載するのが適切かどうかはさておき、GIMPのバージョンが3.0になったことでしょう。もちろんデフォルトではインストールされていないので、別途インストールが必要です。また、25.04でなくてもsnapやFlatpakでも利用できるので、積極的な利用を呼びかけたいです。理由は次号でわかるかもしれません。

カーネルのバージョン

カーネルのバージョンは6.14で、24.10は6.11だったので順当なバージョンアップです。リリースノートによるとsched-extという独自のスケジューラーがデフォルトになっています。sched-extに関しては、詳しくはUbuntu Weekly Topics 2024年3月1日号で紹介しています。

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