Windows 2000によりActive Directoryが公開されてから、今年で10年目ということだそうです。
Active DirectoryがWindowsドメインを管理運用するためのソリューションであることは、みなさんすでにご存じでしょうが、その機能や使い方、トラブルの対応方法について、みなさんは自信を持って社内の同僚やお客様に説明できるでしょうか? 今回は、総復習の意味も兼ねて、Active Directoryの技術的なトピックやトラブルシュートの方法、について、いくつかお話ししたいと思います。
過去のWindowsの問題点
Active Directoryが最初に実装されたWindows 2000の開発時の名称は「Windows NT5」といい、Windows NT4.0の後継にあたります。
Windows NT4.0のドメインコントローラ(ドメイン認証を行うサーバ)は割と使いやすいものでしたが、いくつか問題点がありました。そのうちのひとつに、アカウントに何かの情報を結び付けて使いたい場合(たとえばメールアドレス)、アプリケーション独自のデータベースやサードパーティのディレクトリサーバに頼らなければならない、というものがありました。
Active Directoryでは、(詳細は後述しますが)LDAPデータベースを中心に実装されており、たとえばドメインコントローラ情報を検索して必要な情報を呼び出す、といったところでWindowsのログオン認証に深く関連しています。また、関連するアプリケーションと有機的に統合されている例として、「Exchange Server」というコラボレーションサーバ(主たる機能はメールサーバ)があります。Exchange Serverでは、Active Directoryで登録されたユーザのメールデータを管理したり、ユーザ名からメールアドレスを検索して、メールの送信を行なうことができます。
Active Directoryでは、ユーザアカウントやコンピュータアカウントのほか、DNSレコードの情報、グループポリシーの情報、サイトの情報やドメインコントローラ間の複製構成(接続オブジェクト)の情報など、多岐にわたってオブジェクトが存在します。またこれらのオブジェクトを格納するOUを適切に構成することで、ディレクトリ階層を構築することができます。
Active Directoryの場合、オブジェクトに含まれている属性は多数におよぶため、全部を紹介することはできませんが、たとえば次のようなものになります。設定可能な属性の一覧については、Windows Server 2008 R2の[Active Directoryユーザーとコンピュータ]コンソールの[属性エディター]画面から、簡単に確認できます。
表1 Active Directoryオブジェクトの属性(ユーザアカウント)
objectCategory
オブジェクトカテゴリ(参照先スキーマオブジェクトが示される)
objectClass
オブジェクトクラス
localpany
会社名
department
部署
distinguishedName
識別名
displayName
表示名
givenName
名
mail
メールアドレス
msDS-PhoneticDisplayName
表示名のふりがな
name
名前(相対識別名として機能する)
saMAccountName
SAMアカウント名
sn
姓
telephoneNumber
電話番号
title
役職
userPricipal
ユーザプリンシパル名
表2 Active Directoryオブジェクトの属性(OU)
objectCategory
オブジェクトカテゴリ
objectClass
オブジェクトクラス
distinguishedName
識別名
ou
組織単位名
図2 Windows Server 2008 R2 [Active Directoryユーザーとコンピュータ]コンソールの属性エディター 画面